アートメイクをするには資格が必要?資格なしでの施術は違法?

アートメイクをするには資格が必要?資格なしでの施術は違法?

公開日:2021年10月12日 更新日:2021年10月12日

アートメイク

医療法人社団雪焔会 トイトイトイクリニック理事長・統括院長 野田 知路

監修医師
医療法人社団雪焔会 トイトイトイクリニック理事長・統括院長

野田知路Noda Tomonori

福岡大学医学部形成外科、大手美容皮膚科院長を経て、医療脱毛をメインとする美容皮膚科クリニックを都内(渋谷原宿、池袋)で展開中。

常に自分の家族ならこうしたいと考えるよう心掛け、「家族にも勧められる美容医療」を信条としています。

アートメイクをするには資格が必要?資格なしでの施術は違法?

最近、男性の美のたしなみとして注目されている「メディカルアートメイク(以下アートメイク)」をご存知でしょうか。
アートメイクは皮膚のごく浅い部分に針で色素を入れて、自然な色合いにする医療技術です。
もともと、ケガの後遺症や手術後の傷跡を隠す目的で開発されました。
その後、女性の眉や唇・乳輪などを自然でキレイな形にするために活用されるようになり、近頃は男性もアートメイクをする時代になってきています。
そんな画期的な医療技術であるアートメイクですが、施術を行うのに資格が必要なのでしょうか。技術を習得するまでの過程について解説していきます。

アートメイクの施術に必要な資格は?

アートメイクの施術を行うのにも資格が必要です。
その資格とは「医師免許」か「看護師免許」のこと。
具体的には、医師の管轄の元、アートメイクを看護師が施術を行っていれば、「合法的に」運営を行っていると判断されます。
では、なぜアートメイクに医師免許や看護師免許が必要なのでしょうか。

なぜアートメイクに医師免許や看護師免許が必要なのか

アートメイクに医師免許や看護師免許などの資格が必要な理由を知るには、アートメイクそのものを理解しなければなりません。
アートメイクは皮膚の「真皮」と呼ばれる部分に針を刺して色素を注入する方法です。
もともとアートメイクは、手術で失われた部分を自然な見た目に戻すために開発されました。
厚生労働省によると医師法で

第17条 医師でなければ、医業をなしてはならない。
第31条 次の各号のいずれかに該当する者は、3年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。一 第17条の規定に違反した者(以下略)

としています。また、その解釈の中で

医師法第17条に規定する「医業」とは、当該行為を行うに当たり、医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は危害を及ぼすおそれのある行為(「医行為」)を、反復継続する意思をもって行うことであると解している。

と解説しています。つまり、人体に針を刺して色素を注入する行為は、まさに「人体に危害を及ぼすおそれのある行為」に該当するので、医師免許が必要というわけです。また、看護師についても「保健師助産師看護師法」という法律で次のように規定されています。

第5条 この法律において「看護師」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、傷病者若しくはじよく婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行うことを業とする者をいう。
第31条 看護師でない者は、第5条に規定する業をしてはならない。ただし、医師法又は歯科医師法の規定に基づいて行う場合は、この限りでない。
第43条 次の各号のいずれかに該当する者は、2年以下の懲役若しくは50万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
 一 第29条から第32条までの規定に違反した者(以下略)

かいつまんでいうと、看護師は「医師の監督のもとで診療の補助を行うなら合法ですよ」というわけです。
ここから「医業に該当するアートメイクは医師の監督のもと看護師が行ってもよい」ということになります。
こうした理由から医師が常駐しているクリニックであれば、医療従事者の看護師がアートメイクを行うことはできます。
一方、

  • 医師が常駐していない美容サロンやエステでアートメイクの施術をしている
  • 看護師の資格を持っていない方がアートメイクの施術を行っている

場合は「合法」ではないので、アートメイクを受けられる際には十分注意してください。

合法ではない場所でアートメイクを受ける場合のデメリット

「合法ではない場所でもアートメイクしてもらえれば、変わらないのでは?」と考える方もいるかもしれません。
しかし、合法ではない場所でアートメイクの施術を受けることは、施術をする側だけでなく、施術を受ける側も以下のデメリットがあります。

麻酔などの処置を事前に行うことができない。

針を刺す痛みを和らげために、表面麻酔をすることが多いですが、無資格で行っている店舗では、麻酔を扱うことができません。
以下の通り、医師の指示なしで麻酔を行うことは医師法に違反するからです。

麻酔行為は医行為であるので医師、歯科医師、看護婦、准看護婦または歯科衛生士でない者が、医師又は歯科医師の指示の下に、業として麻酔行為の全課程に従事することは、医師法、歯科医師法、保健婦助産婦看護婦法又は歯科衛生士法に違反するものと解される。

資格のない施術者や施設による被害が増えている

国民生活センターの調査によると「2006年から2011年までの5年間でアートメイクに関する被害が121件寄せられており、その95%は医師免許を有しない者が行った施術によると思われる事例である。」としています。

つまり、やはり無資格でアートメイクを行っている場合、十分な医療技術を学んでいない方が多くいます。
肌のトラブルが起こった場合も十分に対処することができません。その分、健康被害が寄せられているわけです。
ご自身の肌は1つしかない大切なもの。安さや手軽さなどを理由に、安易に美容サロンやエステでアートメイクをせず、医師や看護師がいるクリニックで行うようにしましょう。

アートメイクで失敗しないためのクリニックの選び方

上記から、アートメイクを行う時に必ず事前にチェックしたほうがよいことがわかったのではないでしょうか。
では、どういったポイントが大切なのか整理してみました。

医師が常駐しているクリニックか確認する

アートメイクを医師の監修のもと行っているかは、ホームページで通常確認することができます。
通常、「院長」や「管理医師」などの名前で記載されていることが多いので、必ずチェックしましょう。
医師の名前がないアートメイクのサロンは「違法」になります。

看護師が施術を行っているか確認する

多くのアートメイクを行っているクリニックは、医師は事前に問診をするだけの場合が多く、アートメイクを実際に施術しているのは、看護師であるケースが少なくありません。
クリニックのホームページなどで、

  • 施術者はどういった方であるか:看護師であるか。プロフィールなどはあるか
  • アートメイクに関する知識をきちんとスクールで習得したのか

などをチェックしていきましょう。
ホームページに記載がなければ、電話で確認したり、事前カウンセリングの段階で医師に確認してみるとよいでしょう。

カウンセリングを丁寧に行っているか

施術を実際に行う前に、必ず事前カウンセリングがあります。
針を入れてからデザインを変更することはできないので、患者様が考えているイメージと施術者が考えているイメージをすりあわせる必要があるからです。
逆に、十分なカウンセリングも行っていないようなクリニックは、針を入れる前に他のクリニックと比較してみてから施術を決めたほうがよいでしょう。

【まとめ】アートメイクをするには資格が必要?

アートメイクを行うのに必要な資格について、お話していきました。
まとめると、

  • アートメイクを行うには医師の管轄が必要である
  • アートメイクの施術をするのには、看護師免許か医師免許が必要である
  • 資格のない美容サロンやエステで行うと、健康被害が生じたり、麻酔なしで痛みを伴ったりなどの、デメリットが生じることがある
  • アートメイクを行う前に、医師や看護師がいるかどうか、事前チェックが大切

ということになります。
今は男性も「美」を追求し、よりきれいになれる手段が増えてきています。
「アートメイクで失敗した・・・」ということがないように、事前に十分下調べを行い、信頼のあるクリニックを選ぶようにしましょう。