脱毛すると毛が濃くなる?硬毛化の原因と対策
公開日:2021年11月15日
更新日:2022年06月17日
レーザー脱毛による永久脱毛は、毛のない滑らかな肌を目指す方にとって欠かせない美容医療技術となりました。
実際、レーザー脱毛が始まってから20年以上の歴史がありますが、女性だけでなく、美を意識する男子にも人気が高まっています。
しかし、これからレーザー脱毛したい方にとって心配になるのが「副反応」ですよね。毛嚢炎(もうのうえん)や火傷(やけど)の他に、稀ながら必ずあげられる副反応の1つが「硬毛化(こうもうか)」です。
このコラムでは、注意すべき副反応の1つである「硬毛化」について、硬毛化の原因となりやすい方、硬毛化になった時の対策を含めてお話していきます。
目次
硬毛化とは?
硬毛化とは「薄かった毛が、濃く・太くなって置き換わって生えてしまうこと」です。他に「増毛化」「多毛化」といわれることもあります。毛穴の数は生まれつき決まっていますので、以前よりも毛が太く硬くなってしまい、毛が増えたように感じられるといわれています。
この硬毛化が起こる頻度はごくまれで「1%未満」といわれています。
しかし、永久脱毛しに来院されたのに脱毛しようとする毛が太くなったら、非常に驚きますよね。どうしてレーザー脱毛で「硬毛化」が起きるのでしょうか。
硬毛化する原因は?
では、なぜ脱毛をしたい毛が逆に濃く太くなることが稀に起こるのでしょうか。
実は硬毛化の詳しい原因は、はっきりとは解明されていません。現在ある説の中で最も有力なのが、「レーザー脱毛により、脱毛される予定の毛が刺激され、発毛する方向に活性化されるから」とする説です。
原因の前にレーザー脱毛の仕組みについて、お話していきましょう。
レーザー脱毛では、なぜ永久脱毛されるのか。それは、レーザー光によって毛根にある「発毛組織」にダメージを与えるから。
通常の肌にダメージを与えず毛根だけにダメージを与えるために、レーザー脱毛では、毛根に密集している「メラニン色素」に注目しました。レーザー光はメラニン色素に特に反応しやすい波長の光を使用します。レーザー光はメラニン色素をもつ「メラノサイト」のよって吸収され、熱エネルギーに変換されることで「発毛組織」にダメージを与えて永久脱毛していきます。
簡単ですが、これがレーザー脱毛の仕組みです。
しかし、硬毛化の場合は、例えばレーザー光の出力が十分でない場合、レーザー光で変換された熱エネルギーが逆に発毛組織にとって刺激になり、発毛組織が活性化してしまうのではないかといわれています。しかし、これも仮説に過ぎず、まだ立証には至っていません。
そのため、脱毛機の種類に関わらず硬毛化のリスクがあります。どのクリニック・サロンでもこの現象が起こっても不思議ではありません。
詳しい原因がわからないので、「絶対硬毛化が起こらないようにする」ということはできないのです。
硬毛化しやすい部位は?
では、硬毛化しやすい部位はあるのでしょうか。これまでの臨床経験から、以下の部位が硬毛化しやすいといわれています。
背中~うなじ
背中からうなじは、他の体の部分よりも産毛が多くあります。産毛は通常の毛よりも細く、毛根周囲のメラニン色素が少ないため、レーザー光が反応しにくくなります。
その結果、レーザー光による熱エネルギーが十分産生されず、発毛組織が刺激され硬毛化につながります。
産毛が多い背中からうなじにかけては、硬毛化のリスクが高い部位で、数本のみが濃くなる場合もあれば、全体的に濃い毛が生えてきてしまうこともあるので、担当医師・スタッフも硬毛化を十分注意しながら施術を行っております。
肩~二の腕の外側
肩周りから二の腕の外側の部分も、産毛が多い場所で、硬毛化が起こりやすいと言われています。やはり産毛が多い場所に硬毛化は起こりやすいですね。あとは、脱毛する面積も広いのも特徴の1つです。
フェイスライン
顔は脱毛したい部位の中でも人気の場所ですが、産毛も多いため硬毛化が起こりやすい場所の1つになります。特に「もみあげ~あご」にかけてが起こりやすいとされています。
硬毛化しやすい方の特徴は?
硬毛化しやすい方の特徴はあるのでしょうか。
一般的には、以下の方が硬毛化しやすい方とされています。
体毛が薄い方
産毛の理由と同様、メラニン色素の量が少ないと発生する熱エネルギーが十分にならず、発毛組織が熱エネルギーにより刺激されて、硬毛化しやすくなります。
毛根が深い場所にある方
毛根の深さも人それぞれですが、毛根が深い所にあるということは、周囲のメラニン色素も深い所にあるということ。
レーザー光は表面から深い所にあればあるほど、ビームが届きにくくなるので、十分なダメージを与えにくくなります。すると、深い所にある毛根に対しては発生する熱エネルギーが十分にならず、発毛組織が熱エネルギーにより刺激されて、硬毛化しやすくなります。
毛の密度が高い方
毛穴は生まれたときから数が決まっており、環境や処置で変化することはありません。毛の量自体が多いと、確率として「硬毛化するかもしれない毛」がでてくる可能性が高くなるので、硬毛化のリスクは高くなります。
また毛が密集していると、脱毛機のエネルギーが均等に当たらずに、きちんと照射できていないムダ毛が出てくる場合があります。その結果、照射が不十分な毛は硬毛化する可能性があります。
硬毛化に対する対策は?
硬毛化してしまった時の対策はあるのでしょうか。
もちろん原因がわかっていない部分もありますが、これまでの症例から硬毛化した時の対策も各クリニックで行われています。
一般的には、次のような方法でしょう。
追加でレーザー照射を行う
レーザー光の刺激が弱く発毛してしまった場合、発生する熱エネルギーが十分でなかった可能性があります。そのため、レーザーの出力を調整しながら追加でレーザー照射することで改善するケースもあります。
クリニックやサロンによっては、追加照射の保証をしてくれる場合があるので、担当医師・スタッフに相談してみるとよいでしょう。
脱毛方式を変える
例えば別のタイプのレーザー光に変えてみたり、毛根にダメージ与えるための他の脱毛方法に変えることで、硬毛化を抑える方法も考えられます。
いずれにせよ、硬毛化を疑った時は、まず通っているクリニックやサロンに相談してみて、一緒に治療方針を決めていくことが大切です。
【まとめ】脱毛すると毛が濃くなる?硬毛化の原因と対策
レーザー脱毛で稀に起こる「硬毛化」についてお話していきました。
硬毛化の原因についてわかっていないこともありますが、対策は十分あります。そもそも起こるのも稀な副反応です。
ご不安な点がありましたら、事前カウンセリングで、ぜひその不安をお話ください。担当医師・スタッフが丁寧にお話させていただきます。
参照元文献
監修医師
医療法人社団雪焔会 トイトイトイクリニック理事長・統括院長
野田知路Noda Tomonori
福岡大学医学部形成外科、大手美容皮膚科院長を経て、医療脱毛をメインとする美容皮膚科クリニックを都内(渋谷原宿、池袋)で展開中。
常に自分の家族ならこうしたいと考えるよう心掛け、「家族にも勧められる美容医療」を信条としています。