パラメディカルピグメンテーション(パラメディカルアートメイク)とは?適用する疾患について
公開日:2021年10月17日 更新日:2023年10月25日
アートメイクは日常のメイク代わりになることで注目を集めていますが、このアートメイクにはパラメディカルアートメイクと呼ばれるものがあることをご存知でしょうか?
パラメディカルピグメンテーション(パラメディカルアートメイク)は、皮膚疾患や外傷、手術跡など損傷をきたした皮膚に色素を注入して、目立ちにくくカモフラージュする技術です。
聞き慣れない言葉のため「どのような仕組みなのかよく分からない」「自分の疾患は適応になるの?」とお悩みだった方も多いのではないでしょうか。しかし、パラメディカルアートメイクを必要とする人、パラメディカルによって救われる人たちは少なくありません。
この記事では、パラメディカルピグメンテーションの適応疾患について解説します。
この記事を読むことで、パラメディカルピグメンテーションの原理を理解でき、以下のような疑問や悩みを解決します。
こんな事がわかる
- パラメディカルピグメンテーション(パラメディカルアートメイク)とは?
- パラメディカルピグメンテーションの適応疾患にはどんなものがある?
目次
パラメディカルピグメンテーション(パラメディカルアートメイク)とは?
パラメディカルピグメンテーション(パラメディカルアートメイク)とは、医学的あるいは美容的に皮膚に問題のある人に対し、皮膚の色を人工的に作り出すことを目的に、機械的な手段で真皮の上層部に色素を注入することです。
もっと簡単に言えば、メディカルアートメイクの技術をより医療の目的に使うことです。そのため、医療補助アートメイクと呼ばれることもあります。
従来のタトゥーのように芸術性を重視するのではなく、医学的な原因で発生している問題を隠したり、カモフラージュしたりすることを目的としています。
例えばパラメディカルピグメンテーションは、火傷の跡やあざ、白斑のような皮膚の斑点を隠すことができます。また頭髪を再現することや乳輪の再現、乳がん患者の手術跡のカバーにも役立てられている技術です。
パラメディカルピグメンテーション(パラメディカルアートメイク)の適応疾患について
パラメディカルピグメンテーションは、生まれつきの障害や事故や病気による外見上の見た目を修正したり、手術による乳房の乳輪の再建など美容上の修正を行ったり、傷跡の治療に利用されていますが、具体的にどのような状況に利用されているのかご紹介します。
乳がんの術後
パラメディカルピグメンテーションの技術を用い、乳輪周囲の傷跡をカモフラージュすることができます。
例えば、乳がんの術後、乳房にできる傷跡は時間とともに消えていきます。しかし、乳輪の周りに残る傷跡は、乳輪の色となじまず、目立ってしまうことがあります。そのような場合、既存の乳輪の色となじませることを目的に、パラメディカルピグメンテーションの技術を利用します。
このほかにも、乳輪のサイズが左右非対称の方、乳輪が小さすぎたり、色が薄かったり、輪郭がはっきりしなかったりしてお悩みの方にも、パラメディカルピグメンテーションの技術を用いて悩みを解決することができます。
さらには乳頭が再建されていなくても、あたかも乳頭があるかのように仕上げることも可能になっています。
白斑症
白斑は、皮膚の色素の色を作る細胞であるメラノサイトの機能障害により、体のさまざまな部位に白い斑点が現れる疾患です。残念ながら現在のところ、有効な治療法はほとんどありません。
外科的に皮膚を移植する場合もありますが、とてもリスクが高い手術になります。
一方パラメディカルピグメンテーションは、色素を注入しますが外科的な手術ではありません。また、結果が見られるまで時間のかかる内科的治療と異なり、成果はほぼ即時に得られます。
サイズや部位にもよりますが、患者さんの多くが2~3回の施術を受けることで最大の効果を得ることができます。
外傷や熱傷後の瘢痕・傷跡
熱傷の跡、手術の跡、事故の跡、妊娠線などの一般的な傷跡は、すべて傷跡をカモフラージュして薄くしたり、隠したりすることができます。
例えば口唇裂は先天性の異常で、胎児期に口蓋が完全に閉じることができず、上唇と鼻に裂け目ができるため、鼻孔の形が異なります。
この矯正手術は乳幼児期に行われます。このような矯正手術で口の形が変わった場合、パラメディカルピグメンテーションの技術を応用して唇の輪郭を復元し、口の形と唇の色を自然にすることができます。
このほかにも、皮膚にできた傷の瘢痕や妊娠線をカモフラージュすることも可能です。
病気や外傷による脱毛
事故や手術後の傷跡などで毛髪が薄くなった部分や禿げた部分には、パラメディカルピグメンテーションの技術を利用して、無精ひげや毛を模した施術がよく行われています。
また円形脱毛症などの病気により、部分的に毛髪が薄くなっている場合も、毛の色に合わせてパラメディカルピグメンテーションの施術を行い、薄毛をカモフラージュすることができます。
【まとめ】パラメディカルピグメンテーション(パラメディカルアートメイク)とは?適用する疾患について
パラメディカルピグメンテーション(パラメディカルアートメイク)の原理や適応となる疾患について解説しました。
この記事では、下記のようなことが理解できたのではないでしょうか。
この記事のポイント
- パラメディカルピグメンテーションとは、皮膚疾患や外傷などで損傷をきたした皮膚の色を人工的に作り出すことのできる医療補助技術
- 適応となる疾患は、乳がんの術後、白斑症、外傷や熱傷後の瘢痕・傷跡、病気や外傷による脱毛症などがある
美容的に悩みを抱えておられる方にとって、この技術は長年の悩みを解決するといった、希望を持つことができる医療補助としての技術です。そして、パラメディカルピグメンテーションの技術を用いることで、予期せぬ疾患や外傷でダメージを受けた皮膚を本来あるべき姿へ近づけることが可能です。外見のコンプレックスから開放されるという面でも、患者さんのQOLの向上を目指す技術として診療メニューに取り入れている医療機関が増えてきています。
ただし医療補助とはいえ、施術には医学的な技術と知識が必要です。施術前に医学的な評価を行い、施術後のトラブルにも適切に対応することができるのは、医師が対応するクリニックです。パラメディカルピグメンテーションに似たような施術を行っている美容サロンもありますが、本来は医療行為であり医学的な知識と技術が必要です。
施術を受けるかどうかお悩みの方は、まずはメディカルアートメイクを扱っているクリニックに相談することをお勧めします。
監修医師
医療法人社団雪焔会 トイトイトイクリニック理事長・統括院長
野田知路Noda Tomonori
福岡大学医学部形成外科、大手美容皮膚科院長を経て、医療脱毛、アートメイク、糸リフトをメインとする美容皮膚科クリニックを都内(渋谷・池袋・新宿)で展開中。
常に自分の家族ならこうしたいと考えるよう心掛け、「家族にも勧められる美容医療」を信条としています。